餃子の町の,餃子の本
このあいだのゴールデンウィーク,市内の餃子店にはすさまじい行列が出来ていました。
ここ数年定着した光景ですが,今年は特にすごかった気がします。
最近の観光旅行は安・近・短が流行だそうですが,宇都宮の地理と餃子の気軽さが奏功しているのでしょう。
餃子といえば?といわれて「宇都宮」と答える人が増えて久しいですね。
一人の市職員が,宇都宮の餃子消費量が全国一であることを見つけ,以後テレビ番組の企画に端を発し,様々な宣伝を展開した結果,今日の隆盛があります。
もっとも私が子供時分の頃には(昭和50年代から平成に入るくらい),市民の間での餃子の人気知名度は既に確立されていたと記憶しています。
数百円,千円の小遣いでやりくりをしなければならない当時,下校途中に一杯のラーメンを食べたくとも大抵は唾を飲み込み我慢するしかありません。
そんなとき一皿百数十円でありつける餃子は,「駄菓子では得られない大人びた食の世界」を味わわせてくれるものでした。
店の戸をガラッと開け,ドギマギしているのを店のオヤジや常連客に悟られないよう,いつもより一段低い声で「焼き1枚ください」と伝える。
数分後,(当たり前ですが)隣に座って新聞雑誌を読んでいる大人達と同じ皿に同じ数だけ盛りつけられた熱々の餃子を「はいおまちど~」といつものセリフでいつものように供してくれる。
(これも当たり前ですが)大人子供を分け隔てなくもてなすオヤジの態度に嬉しさと気恥ずかしさをおぼえ,「これが大人というものか」と妙に納得していたことを覚えています。
そんな宇都宮の餃子の歴史を紐解く上で,必読と言って良い本が2冊あります。
「宇都宮餃子の夜明け前」(上馬茂一著・宇都宮餃子会発行)
小麦の歴史から説き起こす労作です。
シルクロードを通り発展していった小麦食文化の進化形として中国で生まれ定着した餃子。
「戦争期を境に中国に遠征していた多くの日本軍人が,終戦後,郷里宇都宮に戻り味を広めた」という説が,「宇都宮餃子発祥の起源」として定説化しています。
しかし本書は,それももっともであるとしつつ,実は味を広めたのは軍人ではなく民間人だったのではないかという新たな視点を示していて興味深いところです。
本書にあるように,敵対する中国国民の家庭料理である餃子を,いったいどうやって日本の軍人が習得したのか疑問がある一方,満鉄関係者など当時中国で生活していた多くの民間人は,現地の中国人との交流も少なからずあったと想像できますから,「宇都宮に引き揚げてきた民間人こそが餃子を広めていった」というのもうなずける説です。
「秘訣は官民一体 ひと皿200円の町おこし」(五十嵐幸子著・小学館発行)
餃子そのものの発祥から終戦後宇都宮に餃子の産声が上がるまでの背景を説いた「宇都宮餃子の夜明け前」の続編的内容です。
副題に「宇都宮餃子はなぜ日本一になったか」とあるとおり,地元民に定着した宇都宮餃子がいわゆる「ご当地もの」として全国に知られるまでの軌跡を描いています。
宇都宮ブランドを発掘し,広めようという動きが近時活発になってきていますね。
たった一つのブランドを創り定着させるだけでいかに大変なことか,本書は丁寧な取材に基づいた豊富なエピソードを挙げつつ詳述します。
宇都宮餃子の知識を得たい人ばかりでなく,まちづくりに関わる人にとっても勉強になる本です。
どちらも市内の書店で入手可能ですが,「~夜明け前」は長崎屋地下の「来らっせ」のほうがより確実です。
管理人 ミヤリー














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